住宅ローン控除の制度改正で、2022年度以降はどう変わるの? そのポイントと注意点は?

住宅を新たに購入しようとする人の心強い味方である住宅ローン減税。本来、この税制優遇制度は2021年に終了してしまう予定でしたが、昨年12月24日に令和4年度税制改正の大綱が閣議決定され、住宅ローン減税は2025年(入居年)まで4年間延長されることになりました。
しかし、2021年までの制度とは違い「控除期間」や「控除率」などで変更があります。ここでは、新たに実施される住宅ローン減税のポイントや注意点などを解説していきます。
なお、すでに2021年までに住宅ローン控除の適用を受けられている方は、従来通りの条件で利用できますので、改正の影響はありません。

住宅ローン控除の主な制度改正概要

2022年度の税制改正によって、住宅ローン控除はどのように変更となったのか、その概要をご紹介します。

(1) 控除期間が再延長された

今回の制度改正では、住宅ローン控除が受けられる期間は「原則10年(2019年の消費税引き上げに伴い、特例的に13年)」でしたが、2022年度からは「原則13年」に変更されています。

住宅の種類 控除期間
新築住宅・買取再販(※1) 13年(長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH(※2)水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に該当しない場合は、2024年以降入居の場合、10年)
既存住宅 10年

※1 買取再販とは不動産会社などが中古住宅を買取り、一定のリフォームの後に販売している物件を指します。
※2 ZEH(ゼッチ)は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。「家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家」を指しています。
(注)既に2021年までに住宅ローン控除の適用を受けられているかたは、従来通りの条件で利用できますので、改正の影響はありません。

(2) 控除率が縮小された

控除率は従来の「住宅ローンの年末残高の1.0%」から、新築住宅も中古住宅も一律0.7%となりました。
これは、現在、住宅ローン金利が1%を切るようになっていて、1%の控除では「逆さや」が生じてしまうという背景があります。
例えば、新築住宅の長期優良住宅で、年末の住宅ローン残高が4,000万円の場合、4,000万円×0.7%=28万円の所得税の控除(控除しきれない場合は住民税の一部から控除可能)が受けられる計算となります。

(3) 控除の対象となる借入金額の限度額が変更された

住宅ローン控除の対象となる、住宅ローンの年末残高の限度額(借入限度額)は以下の通りとなります。

[住宅の種類別 借入限度額(2022年・2023年)]

住宅の種類 控除期間
新築住宅
買取再販   
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円
その他の住宅 3,000万円
既存住宅  長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅 2,000万円

なお、新築住宅・買取再販の借入金額の限度額は2024年(令和6年)以降に引き下げられる予定ですのでご注意ください。

[住宅の種類別 借入限度額(2024年・2025年)]

住宅の種類 控除期間
新築住宅
買取再販   
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円
その他の住宅 0円(2023年までに新築の建築確認がされている場合は2,000万円)
既存住宅  長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅 2,000万円

(4) 利用者の所得上限が引き下げられた

住宅ローン控除を受ける条件の一つに「所得(収入)要件」があります。こちらは「所得3,000万円以下」から「所得2,000万円以下」に変更されました。

最大控除合計額は?

2022年度の場合、それぞれの住宅の最大控除額を計算すると合計で次のような金額になります。新築住宅の場合でも、住宅の種類によって13年間で最大182万円の差となっています。

[最大控除額]

(新築住宅)
●認定住宅の場合
5,000万円(借入限度額)×0.7%=35万円×13年=455万円
●ZEH水準省エネ住宅の場合
4,500万円(借入限度額)×0.7%=31.5万円×13年=409.5万円
●省エネ基準適合住宅の場合
4,000万円(借入限度額)×0.7%=28万円×13年=364万円
●その他の住宅の場合
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円

(中古住宅)
●認定/ZEH/省エネ住宅の場合
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円
●その他の住宅の場合
2,000万円(借入限度額)×0.7%=14万円×13年=182万円

住宅ローン控除を利用する際に気を付けるポイントは?

住宅ローン控除を利用するためには条件を満たしたうえで、適正に手続きする必要があります。

(ポイント1) 入居日や住宅の環境性能を確認する

住宅ローン控除によって受けられる控除額は、入居を開始する日や住宅の環境性能によって異なります。これから住宅の購入を検討される場合は、ハウスメーカーや不動産会社などの担当者に、これらをよく確認しておきましょう。

(ポイント2) 確定申告や年末調整を忘れずに

住宅ローン控除を利用するためには、原則、入居1年目では会社員の方でも確定申告が必要です。2年目以降では会社員の場合は、年末調整で可能となります。
なお、確定申告は毎年2月15日~3月15日の期間内に管轄の税務署で、年末調整は毎年11月頃に勤務先の会社に、それぞれ必要書類を提出して行います。
年収2,000万円以上の会社員(※)や、副業収入などがあり確定申告をしている方の場合は、2年目以降も確定申告によって適用を受けなければならないのでご注意ください。 

※所得が2,000万円を超える方は、2022年以降に住宅ローンを利用して新たに住宅を取得しても、住宅ローン控除の適用は受けられません。

まとめ

2022年度 (2022年4月)の住宅ローン減税の変更点の概要をご紹介しました。入居日や住宅の性能などにより、控除期間や借入限度額などに違いが出てきます。これから住宅を新築したり、購入する予定の方は、ハウスメーカーや工務店さん、不動産屋さんなどに問い合わせて確認しておくことが重要です。また、会社員であっても、確定申告が必要となってきますので、ご注意ください。



[参照URL] LIFULL HOME’S PRESS / マネープラザ ONLINE
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