府中市は、かつて武蔵国の国府が置かれた場所です。
この記事では、そんな武蔵国の歴史について解説していきます。
武蔵国とは?
武蔵国は、日本の古代から中世にかけて存在した地域で、律令制の成立に伴って設置されました。
当初は東山道に属していましたが、後に東海道に編入されました。
北は上野国、東は下総国、西は信濃国・甲斐国・相模国に接し、南東は東京湾に面しています。
武蔵国の国境は古代から中世にかけて大きな変化はありませんでしたが、中世末から近世初期にかけて上野国や下総国との間で異動がありました。
その結果、一部の地域が武蔵国に編入されました。
現在の武蔵国の領域のほとんどは埼玉県に属していますが、一部は東京都や神奈川県にもまたがっています。
府中市は政治の中心だった
府中市が武蔵国の国府として選ばれた理由は、奈良時代から平安時代にかけての時代背景や地理的条件によるものです。
奈良時代から平安時代にかけて、国府には朝廷から派遣された国司が政務を行っていましたが、その後国府は廃絶され具体的な位置が分からなくなっていました。
しかし、1975年以降の発掘調査によって府中市に国衙が発見され、その後も多くの遺跡が発掘されました。
そんな府中市が国府として選ばれた理由は、その地が武蔵国の中心から外れた場所にあり、さまざまなしがらみを避けるためだったと考えられます。
武蔵国南部には既に中央の拠点が存在しており、北部は有力者やそのしがらみが多い地域であったため、朝廷は南部に国府を置くことを選択しました。
その結果、府中市が国府としての役割を果たすこととなりました。
国府とは
国庁、国衙を含めた役所に勤めていた人々の屋敷や兵士等の宿舎、市や学校、百世の民家をまとめたものを国府と呼びます。
国衙は、国庁の周りに設けられ国の行政事務を担っていた役所の集合体です。
また、国庁は国司という都から来た役人が政治や儀式などを執り行う役所の中心的な機関です。
ちなみに府中市の名前の由来は、この国府の中というところが由来となっています。
国府を学べる施設
府中市は、国府について学べる施設が多々あります。
ここからは、そんな府中市の国府について学べる施設を紹介していきます。
ふるさと府中歴史館
ふるさと府中歴史館は、国史跡武蔵国府跡の中に位置し昭和42年に建てられました。
現在は、建物の外観はそのままに内部をリニューアルした複合施設として、市の歴史と文化を紹介するための施設になっています。
ふるさと府中歴史館は、1階と2階に分かれており1階は国府資料展示室と公文書史料室です。
国府資料展示室では、武蔵国府跡や関連遺跡の発掘調査成果や市の歴史・文化に関する展示が行われています。
出土した遺物やタッチパネルを用いたデジタル郷土かるた、バーチャルツーリングなどを通じて奈良時代の国府の風景を再現しており幅広い年齢層の人たちが楽しみながら学習できる場所と言えるでしょう。
2階には公文書史料展示室があり、館で所蔵する資料や公文書史料室の業務内容を紹介する展示コーナーになっています。
大國魂神社
大國魂神社は、景行天皇41年に大國魂大神がこの地に降臨し、それを祀った社が起源とされる神社です。
大化の改新後には「武蔵国国府」がこの神社に置かれ、「大國魂神社」は国府の斎場としても機能しました。
この神社の例大祭である「くらやみ祭り」は、武蔵国国府で行われていた国府祭をルーツとする伝統の行事です。
くらやみ祭りはその名の通り、明かりを消した中で行われる祭りであり、関東三大奇祭の一つとして知られています。
国司館と家康御殿史跡広場
国司館と家康御殿史跡広場は、府中本町駅のすぐ前に位置しています。
この場所は、約1,300年前に武蔵国府の国司館が建っていた場所であり、さらに約430年前には徳川家康の府中御殿が置かれた歴史的な地です。
国司館と徳川家康府中御殿は、この地域の重要な施設であり、その歴史的な価値を示すために平成30年に公開されました。
広場内には、国司館の歴史的な価値をわかりやすく伝える1/10サイズの模型や、国司館の生活や儀式を再現した展示があります。
また、徳川家康府中御殿のイメージをよりリアルに伝えるために、VR映像や武蔵国府スコープが用意されています。
そんな国司館と家康御殿史跡広場は、府中市の歴史を象徴する重要な場所であり、訪れる人々に古代からの武蔵国府の姿や徳川家康の足跡を感じさせる貴重な体験ができる場所です。
まとめ
府中市は、歴史の中心として欠かせない地域でした。
機会があれば、武蔵国の歴史や国府を知れる施設に訪れてみてはいかがでしょう。
参考URL東京(旧武蔵国)の地方史 (qmss.ne.jp)
都心から離れた「府中市」がかつてゴリゴリの政治的中心地だったワケ | アーバン ライフ メトロ (urbanlife.tokyo)
武蔵の国の歴史は権力者に翻弄され続け、争乱の地となっていった – まっぷるトラベルガイド (mapple.net)
国府 | 世界の歴史まっぷ (sekainorekisi.com)
国史跡武蔵国府跡(国衙地区) | 府中観光協会 (kankou-fuchu.com)
【府中市】府中市の歴史を象徴する国史跡「国司館と家康御殿史跡広場」 | イマタマ特派員 (imatama.jp)