新型コロナウイルス感染症拡大により被害を受けられた方を対象に、国や自治体では救済措置として様々な制度が用意されていることをご存じですか?
その中でも住宅に関しては「住宅ローン控除(住宅ローン減税、住宅借入金等特別控除)」について措置がございます。
今回はその措置内容や対象者についてご説明いたします。
■住宅ローン控除とは?
そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入、増改築した際に、年末のローン残高の1%が所得税から控除される制度です。
例えば年末のローン残高が1000万円の場合、その1%である10万円の所得税が戻ってきます。
もし所得税がローン残高の1%の額より少なかった場合は、翌年度の住民税が安くなるため、マイホームの購入を考えている方にとってはぜひとも利用したい制度ですね。
しかし、この制度を利用するための条件として「新築又は取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というものがございます。
「家が手に入ってから半年以内に引越しが終わっているか」と言い換えると分かりやすいです。
この場合の「引越し」とは住民票が移っているかどうかは関係なく、「入居が済んでいるか」で判断されるため、注意が必要になります。
今回の救済措置は、新型コロナウイルスの影響でやむを得ず入居が遅れてしまったという方を対象に行われます。
■入居が遅れた場合の救済措置
新型コロナウイルスで入居が遅れた方で、住宅ローン控除の特例措置対象となる方の条件と措置は、以下のとおりです。
【1】中古物件の購入後、増改築工事が遅れた場合
対象:
新型コロナの影響で中古住宅取得後の増改築工事が遅れ、住宅ローン控除の入居期限要件(取得日から6カ月以内)を満たせない人
措置:
所定の要件を満たしていれば、増改築等の完了の日から6カ月以内に入居で控除が受けられる
これは中古住宅を購入し増改築を行っている方が対象の措置です。
所定の要件は、以下の2点。
(1)以下のいずれか遅い日までに増改築等の契約が行われていること。
・ 既存住宅取得の日から5カ月後まで(取得日前に契約が行われている場合も可)
・ 関連税制法の施行の日(2020年4月30日)から2カ月後(2020年6月29日)まで(施行日前に契約が行われている場合も可)
(2)取得した既存住宅に行った増改築等について、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によって、増改築等後の住宅への入居が遅れたこと。
この措置を受けるためには、確定申告の際以下のいずれかの書類を税務署に提出する必要があります。
・請負契約書や売買契約書の写しなどの契約の時期を確認する書類
・入居時期に関する申告書兼証明書などの入居が遅れたことを証明する書類
書類の様式や詳細は国土交通省のWebサイトで確認しましょう。
【2】特例措置の入居期限(2020年12月31日)よりも入居が遅れた場合
対象:
新型コロナの影響で新築・取得・増改築等をした住宅への入居が遅れ、住宅ローン控除の控除期間が10年から13年になる特例措置の入居期限要件(2020年12月31日まで)を満たせない人
措置:
所定の要件を満たしていれば、「2021年12月31日まで」に入居で控除対象になる
「住宅ローン控除の控除期間が10年から13年になる特例措置」とは、消費税率が8%から10%に上がったことによる負担を緩和するための措置です。
対象となるためには2020年12月31日までの入居が必須でしたが、期限が延長されました。
所定の要件は、以下の2点。
(1)一定の期日までに契約が行われていること。
・ 注文住宅を新築する場合は2020年9月末までの契約
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合は2020年11月末までの契約
(2)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。
そして、①の中古物件の購入後、増改築工事が遅れた場合と同じように確定申告のときに、契約の時期を確認する書類や、入居が遅れたことを証明する書類が必要になります。
建設工事の遅延により住宅ローン控除を受けられなくなり、今後の資金計画に困ってしまうという方は多いかと思います。
申請手続きなどの手間はかかりますが、国や自治体等がさまざまな措置を用意していますので、影響を受けている方は利用しましょう。