住みやすい家とそうでない家の違いは「間取り」にあるということをご存知ですか?間取りの良し悪しで家族の暮らしが大きく変わってきます。そこで、ここでは間取りを考える前に知っておきたい基礎知識をご紹介します。
間取りの最新トレンド、部屋数優先から空間優先へ。
間取りの考え方は、昔と今とで大きく変わってきていますが、中でも大きく変化したのが「部屋数優先から空間優先へ」と言う考え方です。
ひと昔前の日本では、部屋数を重視する人が多く「わが家は、8部屋もある」と自慢げに話す人もいました。
しかし、限られた敷地面積の中で、部屋数を優先してしまうと、小さな部屋ばかりになってしまいがちです。壁で細かく区切られた部屋では、プライバシーは保たれますが、コミュニケーションが生まれにくくなり、家族同士のつながりが希薄になってしまいがちです。
最近では、部屋の数を優先するより、空間の広さを重視する傾向になってきました。家族がコミュニケーションを取りやすい、オープンな間取りが好まれるようになってきたのです。
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)を区切らずにワンルームにする家が増えています。また、リビングから続く和室の襖を取り除き、ひとつながりにするなど、ゆったりとした空間を作って、家族が集まりやすくする間取りが好まれています。
広い空間の部屋はフレキシブルに使えるのも魅力です。家具の置き場所も比較的自由になり、必要に応じて室内を家具で仕切って空間を分けることもできます。
スムーズな家事動線を考えた間取りに
かつての家づくりは、ほとんど家事をしない男性目線で作られていました。そこで、家事動線をあまり考えない間取りになってしまっていました。
しかし、最近の家づくりでは、主婦の意見が反映されることが多く、より快適で便利な家事動線を意識した間取りの家が増えています。
例えば、下記のような間取りの使い勝手を考えてみましょう。
この間取りでは、
① キッチンで調理をする
② 洗濯が終わったようなので、いったん調理の手をとめて、
洗濯機のある洗面室に向かい洗濯物を取りだす
③ 洗濯物をまとめて、階段を上がり2階のベランダに移動して、洗濯物を干す
④ 2階から下りてくると宅配便が来て
⑤ 荷物を受け取る
その後、再びキッチンに戻って調理を再開する
と言う具合に、実にスムーズな家事動線が作られています。
この間取りは、キッチン→洗面室→階段→LD→キッチンとぐるりと一周できる回遊式になっており、家事をしているときの移動が少なくなるように設計されています。
将来のリフォームも考えた間取りに
最近の住宅には、高い耐震性、耐久性、省エネルギー性能などがあり、家の寿命も延びています。
家の寿命が長くなると、そこに住む家族の構成や生活スタイルも変化していきます。子育てからはじまって、子どもの独立、親の介護、老後の生活へと暮らし方が変わっていきます。ライフステージが変化するに従って、住みやすい間取りも変わってきます。
その時、その時の暮らし方の変化に応じて、間取りもリフォームしていければ理想的です。
そのためには、リフォームしやすい間取りにしておくことも大事です。
リフォームしやすい間取りにするためには、次の3つのポイントを考えておきましょう。
(1) 必要以上に細かく区切った間取りにせずに、ゆったりした空間にする
(2) 水まわりを1か所に集中させて、後からも工事をしやすくしておく
(3) 空間を区切る場合は、構造的に取り外しができる間仕切り壁や建具などを使う
この他にも、将来的に家族が増えたり、2世帯住宅にする計画がある場合は、設計段階から対応しやすい間取りにしておくといいでしょう。
まとめ
住みやすい間取りは、人それぞれに違いますので、ここでご紹介した間取りの考え方がすべての方に当てはまるとは限りません。
「部屋数よりも広い空間を」「家事動線を重視して」など、最近の間取りの考え方を把握したうえで、あなたの家族にあった間取りを考えてみてください。
まずは、家族の皆さんで、どんな間取りが良いか、理想の住まいについて話しあってみてはいかがでしょうか。