耐震等級とは? その基礎知識と知っておきたいポイント

家を新築しようとする時や購入するときに、「耐震等級」という言葉を良く耳にします。
「耐震等級」は、耐震性能のランクを示しています。地震国である我が国では、家づくりにあたって地震への対策は不可欠です。そこで、ここでは「耐震等級」の基礎知識と知っておくべきポイントをご紹介します。安心・安全な家づくりと家選びのために、ぜひ、参考にしてください。

知っておきたい耐震等級の基礎知識

建築の専門家ではない私たちは、図面を見ても家の耐震強度を評価することはできません。そこで、素人でも分かるような耐震性能の目安として表示されているのが「耐震等級」なのです。

・耐震等級とは

私たち消費者が質の良い住宅を安心して取得できることを目的に、平成12年(2000年)に「住宅の品質確保の推進等に関する法律(品確法)」が施工されました。この法律の主旨に沿って、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつとして「耐震等級」が制定されました。
耐震等級は、建物の耐震性能のランクによって、耐震等級1から耐震等級3まで3段階に分かれています。その数字が大きいほど、建物の耐震性能が高いことを表わしており、マイホームを購入するときの目安の一つとなります。

・建物の耐震性に影響する4つの要素

建物の耐震性を計算する上で、次の4つの要素が大きく影響すると言われています。

(1) 建物の重さ
建物そのものや屋根が軽ければ軽いほど、地震の揺れに対して建物の振幅が小さくなります。
(2) 耐力壁
耐力壁とは地震や風などで生じる横からの力に抵抗する壁のことです。耐力壁が多ければ、耐震性も高まります。
(3) 耐力壁や耐震金物の配置・設置場所
耐力壁や耐震金物は耐震性を高めてくれますが、その配置場所が重要です。最大限の効果を発揮させるように、バランスよく配置・設置する必要があります。
(4) 家の基礎の耐震性
建物を支える基礎の耐震性を強化することで、建物全体の耐震性を高めることができます。

耐震等級ごとの耐震性能は?

耐震等級ごとの耐震性能を見てみましょう。正確に言うと、性能表示制度の耐震性計算は、建築基準法の耐震性能の計算とは多少異なりますが、ここでは詳細は省いて概略をご案内します。

・耐震等級1

「耐震等級1」は、建築基準法に定められている建物に備わっているべき最低限の耐震性能の基準を満たしていることを示しています。震度6強から7という、百年に一度起こるような大地震にも耐え得る強度を持つように構造計算されています。
数十年に一度の頻度で発生する震度5程度の地震に対しては、建物が損傷するのを防ぐ耐震性能があるとされています。
ただし、実際の地震は、様々な条件で震度や揺れ方が変わってくるため、これは一つの目安として考えておかなければなりません。

・耐震等級2

「耐震等級2」は、耐震等級1の1.25倍の耐震強度があることを示しています。「長期優良住宅」として認定されるためには、耐震等級2以上の耐震強度をもつことが必要です。
災害時に避難場所として指定される学校をはじめ公民館や病院などの公共施設は、必ず耐震等級2以上の強度を持つことが定められています。

・耐震等級3

「耐震等級3」は、住宅性能表示制度で定められた耐震性の中で最も高いレベルの耐震性能となっています。耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。
災害時の救護活動や復興活動の拠点となる消防署・警察署などでは、ほとんどの建物が耐震等級3で建設されています。

耐震等級、知っておきたいポイントは

マイホームを建設したり購入する場合、耐震等級についてある程度の理解があれば、さらに安心・安全な建物を選ぶことができます。ここでは、見落とされがちな耐震等級に関するポイントをご紹介していきます。

・耐震等級が不明な場合も

「耐震等級」を含む住宅性能表示制度は、2000年に制定されたものです。このため、2000年以前に建てられた建物には耐震等級の評価書が用意されていない場合があります。また、住宅性能表示制度そのものが任意のため、必ずしも評価書を取得する義務はありません。このため、耐震等級が明らかでない建物も多くあります。
耐震等級が不明の場合は、築年数などをもとに、その耐震性能を調査することができます。新耐震基準が制定された1981年6月1日以降に建築された建物はこの新基準を満たしているため、耐震等級1以上の強度があるとみなすことができます。

・耐震等級1の建物が多い

マンションの場合、木造住宅などに比べて、耐震等級をクリアするための基準が高くなっています。耐震等級を上げようとすると、柱や壁の位置が制限されるため、間取りの自由度が低くなってしまいます。このため、あえて耐震等級を上げずに、居住性を優先して建築されているマンションも少なくありません。

・耐震等級は、施主側で選べる

建物を建てる施主側が望みの耐震等級を選んで、ハウスメーカーや工務店に依頼することができます。また、住宅を購入するときには、その建物の耐震性能を知るための指標ともなります。耐震等級によって、地震保険の保険料が割引されることもありので、その点も考慮したうえで、耐震等級を決めていきましょう。

まとめ

住宅を購入するとき、建築するとき、耐震等級の知識を持っておくことは大事なことです。家族とともに、どのような暮らしをしていきたいのか、その構想を練る時に、間取りや内装はもちろん大切です。しかし、同時に、どのような構造の住宅にするのか、耐震等級をどう考えておくのか。毎日の生活を安心で安全なものにしていくためにも、ぜひ、この耐震等級の基礎知識をお役立てください。


[参照URL]
JAPAN HOME SHIELD ジャパンホームシールド株式会社
https://www.j-shield.co.jp/sumaken/housing-seismic-grade/

t@~[

同じカテゴリの最新記事

このページのトップへ