このコロナ禍では、オープンエアで過ごすことに安心感を覚えることもあり、アウトドアのレジャーが注目を集めています。なかでも、キャンプは人気で、いま第2次キャンプブームが盛り上がりを見せています。ブームの高まりの中で、筋金入りのキャンパーたちのなかには「山を買う」人も現れています。「山はどこで買えるの?」「いくらぐらいするの?」など、興味を持たれている方も多いようです。そこで、ここでは上手な山の買い方や注意点などをご紹介します。
第2次キャンプブームで、自分の「山」を持つ人も出現。
日本オートキャンプ協会によりますと、キャンプを含むアウトドアレジャーは1990年代にブームに火がつき、1996年にはキャンプ人口が1,580万人を記録。第1次キャンプブームと呼ばれました。
その後、キャンプブームは下火となっていましたが、5年ほど前から再び人気が盛り上がってきています。SNS映えするグランピングの登場や女子高校生がキャンプを楽しむ『ゆるキャン』というアニメの人気上昇などが、ブームに拍車をかけています。
特に、テレビ業界では、このコロナ禍でグルメ番組のロケがしにくくなっており、その代わりに芸能人がキャンプを楽しむ様子を映した番組も増えています。そこから「ソロキャンプ」という言葉も生まれてきました。
YouTubeなどでもキャンプの動画が人気で、「ガチキャンパー」と称えられる芸人さんが、心ゆくまでまでキャンプを楽しむために「自分の山」を買ったことが話題を集めました。
それをきっかけに、「自分の山」を買う人が増えており、「山は意外と安く買える」という意見も散見されるようになりました。
山はどこで買えるの?どうしたら買えるの?
山を購入するには、主に3つのルートがあります。
(1) その山の地元の不動産屋さんに聞く
買いたいと思った山の地元の不動産屋であれば、その山の情報をもっている可能性があります。特に、その土地で何代も続いているような不動産屋さんは、その山の山主さんと知り合いであるケースも多いので、ぜひ、訪ねてみてください。
(2) 地元の森林組合に聞いてみる
森林組合は、山主さんの山を管理したり整備するための組織です。森林組合を訪ねれば、その山の山主さんとコンタクトがとりやすくなります。
(3) 山林の売買を行うWebサイトで探す
最近では、山林の売買を行っているWebサイトも数多く見られるようになりました。「山林売買」で検索すればさまざまなサイトが上がってきます。
・山は、一山いくらではない
山といっても、ひとつの山が丸ごと売られていることはあまりありません。実際は、ひとつの山に対して何人もの地権者がいるため、その山のごく一部が売り出されているケースが多いのです。取引単位の平均は、6,000坪(約2万平米)ということですから、通常は、東京ドームの半分ぐらいの単位で売買が行われているようです。
・山は、いくらぐらいで買えるの?
山の価格は、広さやロケーションだけでなく、そこにどんな木が立っているかによっても違ってきます。山の「物件価格」は、そこに立っている「木材価格」+「土地代金」で決められています。
立っている木は、基本的には木材市場での市況から逆算して考えます。木材は、1m3(立方メートル)単位で取引されています。例えば、杉の場合は、全国平均で2,800円です。ただし、これは売買できる樹齢60年以上の杉の場合で、若い木では、市場に出るまでに時間がかかるため単価も下がってきます。実際に、1m3あたり15円という価格もありました。
一方、「土地代金」は数十円から数百円だということです。
ただ、住宅と違って山林購入にはローンを組むことができないため、資金計画も意識しておく必要があります。
・その他、登記の費用なども必要
山を購入するためには、「物件価格」の他に、登記費用や書類作成費、事務手数料などが必要となってきます。ただし、山の場合は評価額が低く、登録免許税がほとんどかからないため、初期費用はトータルで15万円~20万円が相場となっています。
山を購入した後には、毎年の固定資産税が必要となります。山は面積が広いため固定資産税も高そうに思いがちですが、住宅用の土地とは違い、ほとんどが千円単位で済んでいるようです。
また、森林組合に加入する場合は、最初の出資金(数百円~数万円、退会時に返却されます)と毎年の負担金(300坪で100円程度)が必要となります。
・都市から車で1時間30分圏内の物件が人気
今のところ、首都圏や京阪神・名古屋・福岡などの人口密集地から車で、1時間30程度で行ける物件が人気となっています。
特に、都心からのアクセスが良く、平坦で車が乗り入れやすく、しかもすぐ横に川が流れているといったようなキャンプに適した物件が人気を集めています。
山を購入する時の注意点
山の土地には、一般の住宅地などと違う特性もあります。その違いを理解したうえで、山を購入し、維持・管理していくことが大切です。
・山の土地の特性。境界があいまい
住宅地では、土地の境目が明確になっています。しかし、山には地籍調査がないため境界があいまいです。山では「境界に100%はない」といわれています。
現地で確認したり、役所で森林簿を調べたりして、自分で確かめる必要があります。先ほどご紹介した「1m3で15円」の山は、道のない急斜面で、しかも、他人の土地をまたいだ先にある土地でした。価格に惑わされることなく、車で乗り入れできるか、他人の土地を通らずに行けるのか、など購入前にしっかりと確認しましょう。
・建物の建築やインフラの整備にも注意
市街化調整区域に指定されている山や保安林では、自分の所有する山であっても基礎工事を伴う建物は立てることができません。また、水道、電気、下水などのインフラを整備することは不可能ではありませんが、お金と時間がかかることを覚悟しなければなりません。
・維持・管理も大切
山は自然の塊なので、人間の手でしっかりと維持・管理していかなければなりません。自分の山で、道路の近くに枯れ木があったり、人工林がある場合は、伐採などの管理が必要となります。森林組合に入っていれば、アドバイスを受けることができます。また、風致林や保安林の場合、伐採をするには役所の許可が必要となることもありますので、確認しておくことが必要です。
[参照URL] LIFULL HOME’S PRESS