府中市には、航空自衛隊の基地が存在しています。日本のために日夜訓練している自衛隊員の一部はこの航空自衛隊府中基地で勤務しているのです。この記事では、府中基地の成り立ちや歴史、どのような部隊が活動しているのかをご紹介していきます。
自衛隊府中基地とは
自衛隊府中基地とは、東京都府中市に所在する航空自衛隊の基地です。飛行場の施設には、滑走路は無くヘリポートがあるだけの施設になっています。基地司令は航空気象群司令が兼補しています。
2012年に横田基地に移転するまでは、航空総隊司令部があり、海上自衛隊も海難救助や航空救難の情報を得るために救難連絡員を勤務させていました。
2020年には、スペースデブリと呼ばれる宇宙ゴミの監視を行う宇宙作戦隊が編成され話題を呼びました。2022年3月に、宇宙作戦隊が拡大発展し宇宙作戦群が新編され活動を行っています。
基地の沿革
自衛隊府中基地は、昭和15年5月下旬に陸軍燃料廠として開設されました。きっかけは国産プラント建設のため、明石正水少佐以下15名の技術将校が府中に移駐したのが陸軍燃料廠の始まりです。
同年7月31日には、正式に発足され長谷川基少将以下の本部機構が府中に移り、陣容も画期的に充実しました。
昭和19年には、燃料行政の重要性に鑑み陸軍燃料本部に改編されることになります。終戦までの5年間で潤滑油、航空燃料の供給確保を目的とし活動していましたが、技術開発のスタートが遅れたこともあり供給確保の一部を果たしたのみでした。
しかし、官民あげての技術開発は戦後の重化学工業の発展に大きな貢献を果たすことになります。
昭和20年の終戦後はアメリカ軍に管理され、その後12年間にわたりアメリカ軍府中基地として存在することになりました。
昭和32年に、航空集団司令部および航空保安管制気象群本部がアメリカ軍府中基地の一隅に隊員約70名で編成され、航空自衛隊府中基地が併設されることになります。
昭和50年には、アメリカ軍府中基地が横田へ移転することになり全面的に返還されました。これにより、約18年の基地共同使用に終わりを迎えることとなります。
昭和58年に、約56万平方メートルのアメリカ軍府中基地を3分割利用することが決定され、現在の自衛隊府中基地の敷地になりました。
基地所在部隊
府中に住んでいる方や訪れたことがある方の中には、自衛隊府中基地を外から見たことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、どんな施設なのか詳しい方は多くないと思います。ここからは、府中並びに日本の安全を守る自衛隊府中基地にどのような機能や部隊があるのか見ていきましょう。
航空支援集団司令部
航空支援集団は、自衛隊全般の作戦支援に関わる舞台で政府専用機、PKO関連の運搬、管制、気象、飛行点検、航空機動衛生の機能で構成されている部隊です。
航空保安管制群本部
航空保安管制群は、航空機の安全な離発着、民間機を含む航空機の飛行計画の取り扱いや航空情報の出版物編集を行う部隊です。
北海道から沖縄まで20個の部隊に対して、各部隊の運用や保有機材の整備等について、指導や計画調整等に関する業務を担当し空の安全確保を担っています。
航空管理隊
飛行管理隊は、航空機運航に必要な情報をFADPと言う飛行管理情報処理システムを運用し飛行情報を提供する業務を担当しています。
航空情報隊
飛行情報隊は、NOTAM業務と飛行情報の出版物を編集、校正を行う部隊です。
航空気象群本部
航空気象群は、自衛隊の活動に必要な気象情報を提供する業務を担っています。
府中にある群本部は、全国の気象隊をまとめ気象部隊の運用に関する企画、計画を行い体制整備のための業務を行っています。
中枢気象隊
中枢気象隊は、統合的な気象業務の中核的な業務を行う部隊です。
航空自衛隊だけでなく、海上自衛隊や陸上自衛隊にも気象情報の提供をしています。アメリカ軍気象部隊との技術交流も積極的に行っている部隊です。
基地業務隊
基地業務隊は、部隊への物品補給、隊員の福利厚生、食事の提供など主に後方支援業務を行っています。
通信や警備、輸送まで行う後方支援のスペシャリスト軍団と言えます。
航空開発実験集団司令部
航空開発実験集団は、航空機、誘導武器、電子機器など研究開発業務を担っている部隊です。
府中基地の司令部は、航空戦力の向上に寄与する司令塔として指揮をとっています。
電子開発実験群
電子開発実験群は、地上電子機器に関する試験評価のスペシャリスト集団です。
様々なシステムやレーダーの総合検証を行っています。
宇宙作戦群
宇宙作戦群は、将来的な宇宙状況の監視運用開始に向けて宇宙人材の育成、部隊運用の計画を立てている部隊です。
宇宙領域は、世界的にも注目されており今後重要な役割を担っていくと考えられます。
東京地方協力本部三多摩地区隊府中分駐所
東京地方協力本部三多摩地区隊府中分駐所では、主に多摩地区で自衛隊の広報活動と募集を行っているリクルート部隊です。
北関東防衛局装備部装備第2課
北関東防衛局装備部装備第2課は、自衛隊の活動に必要な装備品の調達業務を行っています。
まとめ
普段自衛隊の方と関わることは少ないと思いますが、地元にある自衛隊基地は日夜日本を守るために活動してくれています。
定期的にイベントなども行われるので、自衛隊と関わってみてはいかがでしょうか。
参考URL府中基地 – Wikipedia
基地の沿革|府中基地 (mod.go.jp)